3  メタ分析

3.1 キーワード

世の中には、似たような研究もたくさんあります。中には結果が相反している場合もあります。メタ分析 (meta-analysis)とは、同一のアウトカムを扱っている複数の研究をプール (pool) し、再解析を行うことです。

3.1.1 系統レビュー

メタ分析は通常、系統レビュー (systematic review)とセットになります。まず、系統レビューで同一のアウトカムの研究を網羅的に検索します。次に、検索した論文から適格基準や本文の内容により、メタ分析する論文を選別します。

Note医師国家試験 第109回 C 9

研究を行う本人が患者や対象者の集団に働きかけて直接データを収集しないのはどれか。

a コホート研究

b 症例対照研究

c ランダム化比較試験

d ケースシリーズ研究

e メタ分析〈メタアナリスシス〉

ちょっと問題文がわかりづらいですが、メタ分析において、データは患者ではなくて研究論文から取ります。正解は e となります。

3.1.2 データベース

系統レビューでは、データベースで検索を行います。以下のようなデータベースが読む用いられます。

  • PubMed
    • 概要: アメリカ国立医学図書館(NLM)が提供する無料の文献データベース。
    • 主な収録内容: 生命科学・医学分野の論文。特にMEDLINEを含む。
    • 特徴: オープンアクセス。Biomed CentralやPubMed Centralのフルテキストリンクもある。
  • MEDLINE
    • 概要: NLMが作成する生命医学分野の主要データベース。
    • 主な収録内容: 生物医学、看護学、歯学、公衆衛生などの論文。
    • 特徴: MeSH (Medical Subject Headings) という標準化された語彙で索引付けされている。PubMedの主要部分。
  • Embase
    • 概要: Elsevier 社が提供する有料の医学・薬学系データベース。
    • 主な収録内容: 医学、薬学、製薬、医療技術、臨床試験に強い。
    • 特徴: 欧州の文献も多く、Emtreeという独自のシソーラスを使用。MEDLINEの文献も含まれるが、独自収録文献も多い。
  • CINAHL (Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature)
    • 概要: 看護学と関連医療分野に特化した文献データベース。
    • 主な収録内容: 看護学、作業療法、理学療法、栄養学など。
    • 特徴: 看護やリハビリなど臨床現場の実践に近い文献が豊富。有料 (EBSCOhost経由)。
  • PsycInfo
    • 概要: アメリカ心理学会 (APA) が提供する心理学分野の文献データベース。
    • 主な収録内容: 心理学、精神保健、行動科学、教育心理など。
    • 特徴: 心理療法やメンタルヘルス関連のレビューや研究を探すのに適している。
  • Web of Science (WoS)
    • 概要:Clarivate 社が提供する学際的な引用データベース。
    • 主な収録内容:自然科学、社会科学、人文科学、医学など、幅広い分野の査読済み論文。
    • 引用情報(被引用数)が追えるため、影響力のある論文や研究動向の分析に強い。Impact Factor を算出する Journal Citation Reports の元データを含む。文献の質を重視して厳選されたジャーナルのみ収録。有料サービス。

3.1.3 プール

アウトカムは、有病率やオッズ比などさまざまなものをプールすることが可能です。

各研究の値とプール推計値は、フォレストプロット (forest plot) で示されることもあります。医師国家試験で出題されたフォレストプロットを見てみましょう。

Note医師国家試験 第111回 F 05

ある研究結果の表を示す。

医師国家試験 第111回 F 05 (Source: https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp170425-01.html)

この研究方法はどれか。

a 横断研究

b コホート研究

c 症例対照研究

d 症例集積研究

e メタ分析〈メタアナリシス〉

このフォレストプロットは、研究 A 〜 研究 D という 4 つの研究があり、すべてをプールしたものが再下段に描かれています。つまり、正解は e となります。

フォレストプロットの中央の列では、四角く塗りつぶされている部分がそれぞれの研究での値で、四角の大きさは重みを表しています。値から伸びているヒゲは 95% 信頼区間を表しています。オッズ比と 95% 信頼区間の数値は一番右の列に記載されています。

この図から、各研究においてはオッズ比は 0.15 から 0.62 でしたが、いずれも有意差があるとは言えませんでした。プールした結果、オッズ比は 0.37 となり、有意差がありました。

3.1.4 異質性

さて、このようにプールされた結果はどの程度信頼できるでしょうか?その指標の一つが異質性 (heterogeneity) です。

ある疾患について 3 件の研究があり、プール有病率が、50% としても、元となる有病率が 10%、50%、90% である場合と、45%、50%、55% である場合では、信頼度が異なるのはわかるかと思います。前者のような時、異質性が高いと言います。

異質性は、Cochran Q 検定または \(I^2\) で評価します。Cochran Q 検定は、通常の p 値で評価します。\(I^2\) は、0%〜100% の値を取り、数値が大きいほど異質性が高くなります。

このとき、Cochran Q は 3.3243997 (p = 0.1897212) で、I\(^2\) = 39.4478621 です。

このとき、Cochran Q は 155.6122102 (p = 1.6189666^{-34}) で、I\(^2\) = 99.1189559 です。

メタ分析の論文のガイドラインは、PRISMA 宣言です。

3.2 有病率のメタ分析

論文の例: Kojima G, Iliffe S, Taniguchi Y, Shimada H, Rakugi H, & Walters K (2017). Prevalence of frailty in Japan: a systematic review and meta-analysis. Journal of Epidemiology, 27(8), 347-353.

Vetrano DL, Palmer KM, Galluzzo L, Giampaoli S, Marengoni A, Bernabei R, & Onder G (2018). Hypertension and frailty: a systematic review and meta-analysis. BMJ open, 8(12), e024406.

Ofori-Asenso R, Chin KL, Mazidi M, Zomer E, Ilomaki J, Zullo AR, … & Liew D (2019) Global incidence of frailty and prefrailty among community-dwelling older adults: a systematic review and meta-analysis. JAMA network open, 2(8), e198398-e198398.

Wilkinson, C., Todd, O., Clegg, A., Gale, C. P., & Hall, M. (2019). Management of atrial fibrillation for older people with frailty: a systematic review and meta-analysis. Age and ageing, 48(2), 196-203.

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